2020年の民法改正で制定された契約不適合責任は、それまであった瑕疵担保責任に代わって新たにつくられたものです。
瑕疵担保責任とは不動産に隠れた瑕疵があった場合に、買主が売主に対して損害賠償請求や契約の解除ができるというものでした。
では、契約不適合責任とは、誰にどのような責任が求められるものなのでしょうか?
契約不適合責任の内容と、どんな点に注意が必要なのか見ていきましょう。
不動産売却での契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いを押さえる
契約不適合責任とは、契約の内容に適合しないものを売主が買主に引き渡した場合、その責任を負うのは売主であるという内容です。
瑕疵担保責任では不動産に隠れた欠陥や不具合があったら売主は責任を負うという内容だったので、そもそもの考え方が変わったことになります。
売却する不動産に欠陥や不具合があったとしても、それを説明し契約書に記載してあれば、契約不適合責任では売主は責任を負う必要がありません。
契約不適合責任における買主側の権利は5つあります。
追完請求をして完追されなければ代金減額請求や催告解除が可能で、無催告解除や損害賠償請求が可能です。
追完請求や代金減額請求権は瑕疵担保責任にはなかった、買主の新たな権利になります。
契約不適合責任の売主側の注意点とは?不動産売却前に対策を!
契約不適合責任での注意点は、契約不適合責任がどんな内容か理解している不動産会社を選ぶ必要があることです。
契約不適合責任は任意となっているため、売主と買主の双方が同意すれば特約で免責契約ができます。
また、契約不適合責任を設定する場合は、期間を定めておく必要もあるでしょう。
民法では、契約不適合責任は買主が不適合を知ってから1年以内に売主に通知すればいいことになっています。
買主が不適合を知ったのが売却から10年後でも、知ってから1年以内に通知すれば、売主は契約不適合責任を負わなければいけません。
10年というのは極端な例ですが、売却後のトラブルにならないように双方が納得する期間を定め、申告できる期間を契約書に記載しておきましょう。
そもそも、契約不適合責任は契約書に不具合をしっかり記載しておけば、買主から追及されることがありません。
不動産を売却する前に、ホームインスペクションなどをして、不動産に欠陥や不具合がないかをあらかじめ調べておくのもおすすめです。