昨今は中古住宅の市場がとても活発になっています。
背景にはリノベーションの流行などとともに、国が空き家問題の対策として中古住宅流通の活性化を図るべく、インスペクションに関するガイドラインの策定や法改正がおこなわれていることなどがあります。
今回はインスペクションに注目し、方法や流れ、メリットやデメリットについてご紹介したいと思います。
不動産売却時におこなうインスペクションの方法や流れとは?
そもそもインスペクションとは、「品質実態の検査を専門家や第三者によって評価をすること」を言い、住宅に関するインスペクションは「ホームインスペクション」と呼ばれたりもします。
つまり住宅のインスペクションとは不動産売却などの前に、建築士や住宅診断士などの専門家によって建物の劣化状況や欠陥の有無、工事の不備や必要な修繕の箇所数などを調べることを言います。
インスペクションの対象とは
インスペクションの対象は、築2年を越えた住宅あるいは人が住んだことがある中古住宅(既存住宅)が対象で、店舗や事務所は対象外です。
アパートや賃貸マンションなども対象に含まれます。
インスペクションの方法と内容
インスペクションは次の3つに分類されて、それぞれ調査方法や内容が異なります。
既存住宅現況検査(一次的インスペクション)
主に目視による調査によって劣化具合を把握する基礎的なインスペクションです。
既存住宅診断(二次的インスペクション)
破壊検査なども用いて、一次的インスペクションよりも詳細に中古住宅の状況を調査します。
性能向上インスペクション
リフォーム実施前におこなうもので、二次的インスペクションと同様に破壊調査なども用いて詳細に不具合の原因などを調査します。
インスペクションの流れ
不動産売却前にインスペクションをおこなう場合、まずは売却に関する仲介契約を締結後、不動産会社の斡旋や自分で業者を探してインスペクションの見積もりを依頼し、申し込みます。
インスペクション実施後に不動産売却活動を開始し、買主が決まれば売買契約の締結から引渡しまでをおこない完了となります。
不動産売却時のインスペクションのメリットとデメリットや注意点
インスペクションを実施することで、次のようなメリットやデメリットがあります。
インスペクションのメリット
買主が早く決まる可能性が高くなる
買主が建物の状況を把握できることで安心感が生まれるため購入の後押しとなり、不動産売却が早く進むことにつながります。
売却後のトラブル防止につながる
建物の不具合などを含む状態をしっかりと把握することにより売却後のトラブルを防ぐことにつながります。
既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵担保保険)に加入できる
インスペクションに合格していれば、瑕疵担保保険への加入も可能です。
瑕疵担保保険へ加入していれば付加価値が増し、購入の後押しにもつながります。
インスペクションのデメリット
●調査に関する費用と時間が発生する
●値引き交渉のネタにされる可能性がある
●修繕の必要が出る可能性がある
インスペクションには平均で5万円前後の費用がかかり、調査完了まで日数も要します。
また、インスペクションによって明らかになった内容をもとに値引き交渉をされる可能性や、場合によっては修繕の必要が出る可能性もあります。