住宅や土地などの不動産を売る際には、チラシやインターネットを用いて物件を宣伝することが一般的です。
取引金額が大きい不動産は、誤認しやすい広告にならないように厳しいルールや規制が設けられているため、広告を作るときは注意すべきポイントがあります。
今回は、不動産の広告に関する規制のポイントである「誇大広告の禁止」と、「不動産の表示に関する公正競争規約」を解説します。
不動産を売却する際は広告規制に注意!誇大広告の禁止を徹底解説
宅地建物取引業法の第32条では、虚偽広告と誇大広告を禁止しています。
虚偽広告とは、宅地建物の所在・規模・環境・交通・代金の額など、事実と著しく異なる表示をした広告を指します。
たとえば築15年以上経過している物件を築5年と偽ったり、地目が農地である土地を宅地として表示したりするなどです。
また、売却できない、もしくは売却するつもりのない物件を、破格の値段で広告して顧客を引き寄せる「おとり広告」と呼ばれる方法があります。
うその広告に誘引されて来店した顧客に、すでに売れてしまったと伝え、別の物件を勧めるようなケースを指し、虚偽広告に該当する方法です。
誇大広告の禁止とは、実際のものよりも著しく優良または有利であると誤認させるような表示のことです。
たとえば実際は駅から直接距離が1kmであり、歩く道のりでは4kmであるにもかかわらず、「駅まで1kmの好立地」と表示しているケースがあげられます。
規定に違反した場合は、指示処分や業務停止処分の対象となり、悪質な場合は免許取消処分の可能性も高まります。
刑罰としては、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金とされており、広告する際には十分に注意しなければなりません。
なお、これらの規制について広告の媒体は問われていないので、テレビやインターネット・新聞・チラシなどのすべての媒体が規制の対象です。
不動産売却の広告規制における不動産の表示に関する公正競争規約とは
不動産の表示に関する公正競争規約とは、全国で9つの地域にある不動産公正取引協議会が定めた、不動産の広告における独自のルールのことです。
このルールでは、表示すべきことや禁止用語などが定められています。
表示に関するおもなルールは以下の4つです。
●広告主に関する事項
●物件の所在地、規模、形質そのほかの内容に関する事項
●物件の価格そのほかの取引条件に関する事項
●物件の交通そのほかの利便および環境に関する事項
これらの内容を見やすい場所に見やすい大きさ、わかりやすい表現で表示しなければならないとされています。
また、表示内容を裏付ける明確な根拠があるケースを除き、使用してはいけない用語にも注意が必要です。
具体的な例としては、「絶対」「万全」「業界一」「激安」「最高級」「完売」などがあげられます。